2月2日
フランネルフラワー
― 高潔 ―
気高く咲き誇る一輪の花。
立海大附属高校3年。綺麗だけど近寄りがたいと言われ、彼女の周りはいつも静かだ。
その一角だけ時間の流れが違うようにも感じられる。
同い年で同じクラスメイトのはずなのになかなか話しかけられない。話しかけたとしても、ほんの数分で終わってしまう。
嫌いじゃないけれど苦手。それが、今の彼女の周りからの評価だ。
「。」
「…真田君。なにか?」
「これを。」
差し出されたのはクラス会の出席表。
確か彼は委員長ではなかったはずだが…と思いながらも欠席の欄に丸をつける。
「はい。真田君は委員長だったかしら?」
「いや、委員長は大野だ。」
「そう。わざわざ御免なさいね。」
それ以上は聞かなくてもわかった。クラスメイトが私のことをどう思っているかなんてわかりきったことだ。
話掛けれず、真田君に頼んだのだろう。彼なら大丈夫だと。
まったく、いい加減なものだ。いくら彼が子供離れした風格だとしても、私の対応は変わることないのに。
自分が話しかけ辛いことはわかってた。でも、どうしようもない。この18年に培った性格なのだから早々簡単に直せるわけもなかった。
それにしても、真田君には悪いことをしてしまった。
「何か用があるのか?」
突然隣から声を掛けられ驚きつつ、声の主を見た。
「何のこと。」
声の主は真田弦一郎。先ほど出欠表を渡してくれた彼だ。
「クラス会だ。」
「あぁ、卒業式のあとね。」
「家の用事か?」
「違うわ。私が言ったら、皆に気を使わせちゃうじゃない。」
「そうか。」
「えぇ、それにさっきは、ありがとう。」
私の感謝の言葉に心当たりがなかったのか、少し考えた表情を見せた後「あぁ、あれのことか」と呟いていた。
「用がなければ、来るといい。」
「だから、」
「俺はお前と話したい。」
そうやって真っ直ぐな瞳で見つめられる。
彼も私も冗談を言うタイプじゃないことはよく分かってる。
だから、彼がつまり、どういう意味を持って言ったのかも分かってる。
「最後だから?」
「あぁ。」
「そう・・・。」
「最後の悪あがきだ。」
「そうね。楽しそうだわ。」
俺とは向かい合った。
これから、どうなるのか分からない。
最後の悪あがき。言葉の通りだ。最後に気高い花を摘んでみたくなった。
自分だけのものにして、息詰まっている彼女に安らぎを与えたかった。
そんな勝手なる俺の想いは、卒業に向けて募る一方だ。
あとがき
テニプリより真田。もう卒業式間近ですよねー。