2月13日
アンスリウム
― 愛の芽生え ―
ポポン。
ポッ、ポポポン。開く開く愛の花。
「マユリ!」
「なんだネ。うるさいヨ。」
「うるさいよ、じゃない!飲みに行くわよ!」
「私は研究が」
「どうせ、カビが生えるほど篭ってるんだからお金はあるんでしょ。」
「だから人の」
「あ、ネムちゃん。マユリ、借りるわね。」
「・・・いってらっしゃいませ、様。マユリ様。」
力任せに十二番隊の扉を開き、マユリを引っ張って出て行った彼女はこの十二番隊の第三席でもある。何を思ったか自らこの十二番隊を希望したと言う変わり者。しかし、同じ十二番隊隊長の涅マユリとは幼馴染だと聞けば納得せざる得ない。
「でね。って、聞いてますかぁーマユリ。」
「聞いているヨ。」
飲み屋を何件回ったことだろうか。あと一件、あと一件と言われ今まで付き合っている。
口を開けば、出てくるのは決まって男のこと。
「いいじゃないのよ。」
「何がだネ。」
「あの男ったら、『流石あの十二番隊の隊長の幼馴染だよな』って言うのよ!」
「そウカ。」
「そんなの当たり前じゃん。マユリと何年一緒だと思ってんの。」
ねーと同意を求められても困ってしまう。
とにかく、この悪酔いしている幼馴染がこれ以上酷くなる前に勘定をし岐路につく。
「マユリーどこ行くの?」
「帰るんだヨ。そんなこともわからないのカネ。」
「えーやだー。」
「それなら、私だけ帰るヨ。」
「…私も帰るぅー。」
ちょっと先を行ってしまったマユリの背に向かい大きくジャンプをする。
ぐぇっと言う声と楽しそうに笑う声が誰も居ない夜道に響く。
「マユリィー。」
「・・・。」
「私さー、マユリのこと好き。」
「何をいまさら。」
「好きぃー。」
「鬱陶しい。」
「ひどっ!」
赤い顔をしたまま二つの影は夜道を進む。
音がする、ポン。ポッ、ポポポン。
あとがき
マユリ、夢。ゆ、夢…ですよね?