2月17日

胡蝶蘭
― あなたを愛します ―






「あなたを。」

誓いの言葉を口にした。

「愛します。」

あれから、私たちは共にあった。

「なにをしているの?」
「あぁ。」
「答えになっていないわ。」
「少しね。」
「だから、答えになっていないわよ。」
「考えごとさ。」
「そう。」
「あぁ。」
「間違っていないわ。間違っていない、あなたの選択は。」
「そうかな?」
「そうよ。」

私たちは共にある。
同じようにこの屋敷にいて、互いに仕事のときは離れていたけれど家では必ず二人で過ごしていた。
それは今でも変わらない。
今でも変わらず、私たちは共にいる。
勝手に何も言わず藍州に行ったこともあったが、彼女は帰ってきた私にただ「おかえりなさい。」と言ってくれた。
何故藍州に行ったのか理由は話していないが、わかっているのかそれとも、私が自分から説明するまで待っているつもりなのかわからないが、彼女は何も聞いてこない。
直接聞いてこない分、こうやって何気なく励ましてくれる。

「楸瑛?」
「ん?なんだい?」
「後悔しているの?」
「どうだろう。…していないと言ったら嘘になる。」
「それならいいわ。」
「なにがだい?」
「変わってないということ。私が好きな楸瑛がね。」
「・・・。」
「大丈夫よ。あなたがどんな道を選んでも。」

彼女はスッと楸瑛の目を見つめる。

「わたしはあなたを愛してる。これは変わらないわ。」

ふんわりと微笑む。あの日と同じ、変わらない。




あとがき
なんか楸瑛は切ない系が多いような。