2月26日
レプトスペルマム
― 質朴な強さ ―
「言っておきますけど、私と秀麗はそんなに簡単にヘコたれませんから。」
彼女は御史台に入る日に皇毅、清雅、その他もろもろの御史を目の前にしてそう宣言した。
彼女紅は本来ならば戸部や吏部などに所属する身でありながらこの御史台に入ってきた風変わりなやつだ。
あぁ、なんでも長官にお願いしたらしい。
「ちょっと清雅。」
「上司に向かってなんだその口の聞き方。」
「あんたに言われたくないわ。だいたい、ただの同僚じゃない。」
「お前の面倒見ろって言われるんだけど。」
「そう。なら頑張って。」
口を開けば嫌味の応酬。
聞いている秀麗や蘇芳のほうが慌ててしまう始末だ。
「姉さん。」
「なに?」
「なにじゃなくて…」
「秀麗。お茶を淹れてくれない?その書類は私が片付けておくから。」
ね?お願いと尊敬する姉に言われれば断れることもなく、秀麗はお茶を淹れるために部屋をあとにした。
「なに勝手なことしてるんだ。」
「別にいいじゃない。アンタも考えたら?」
「・・・。」
「秀麗がいくら可愛いからって苛めすぎるのはどうかと思うわよ。ねぇ蘇芳?」
「俺に言われても…」
そこにビュンと音を立てて小刀が飛んできた。
飛んできたほうを見れば清雅が青筋を立てて睨んでいる。
この姿を見るのは何度目だろうか。
見習いとしてが入って3日後にこの姿を見て以来、毎日のように見ているような気がする。
清雅も気が長く感情を表さないことが得意なやつだと思っていたが、方が一枚上手なのかこの行動は毎日続けられている。
「なんで君らってそう、打たれ強いんだよ。」
たまたま二人きりになることがあり、質問してみた。
は吃驚したような表情をし、少し考えるとたぶんと口を開く。
「質朴の強さね。」
「は?秀麗はわかるけど、も?」
「意外な顔するわね。」
「・・・。」
「まぁ、確かに汚い手は使うけどさ。いつもじゃない。私はどうしてもねー人を完璧な不幸には出来ないよ。」
長官や清雅に言わせれば甘いって言われるんだろうけどね。と苦笑しながら言うの質朴が少しだけ垣間見えたような気がした。
あとがき
うぎゃーおー。スランプです。