8月3日

コレオプシス
― 上機嫌 ―



ふんふーん♪
鼻歌を歌い、スキップする私の姿は恐ろしく見えたであろう。

「えらい、上機嫌やな。」
「えぇ。」
「理由は?」
「嫌だわー、それくらい推理してみなさいよ。推理小説作家さん。」

クスクスと微笑み彼女は言った。
彼女、がこんなにも表情を表すことはない。殆どないと言っても過言ではない。
無表情で無愛想とまではいかないが、いつもどこかで自分の感情をセーブしているような人だ。
そんなが鼻歌を歌い、スキップまですると言うとなると、思い当たるのは1つ。

「火村か。」
「そうねー。」

火村関係しかない。
は火村と付き合ってる。らしい。(本人達からは報告がないため確かではない)
それに何だかんだといいながら、火村と話しているの顔は微笑んでいる。

「火村に告白でもされたか?」
「アリスってば、私たちが付き合ってること知ってるでしょ?」
「聞いたのは初めてや。」
「でも分かってたでしょ?」
「あーまぁ、なんとなく。」

罰悪く答えれば、ほらっ知ってるじゃないとクスクス笑い出す。

「ギブ?」
「…ギブ。」

私はもう白旗を揚げた。
するとにっこり笑ったは私の耳元に近づけ囁くと、鼻歌を歌いスキップをして去っていった。



「楽しそうだったな。」
「ひ、火村。びっくりしたー。」

胸を押さえ後ろを振り返れば噂の火村英生が・・・っ。

「ぷ。…っははは。なんやそれ。」

指を指して笑う。可笑しすぎる。
至って普通の火村の姿。だか、その頬には真っ赤なルージュで。

『この男、予約済み!』

…あかん。これは、鼻歌歌ってスキップしたくなるわ。



後書き
ルージュ伝言。みたいな?