8月6日

モルセラ
― 感謝 ―




あなたには、最大級の感謝を…

モノクロの世界の楽しさを教えてくれたのはあなただった。

「なにしてんだ。」
「・・・シリウス。」
「・・・シリウス、じゃねーよ。そんなとこでぼさっと突っ立ってると風邪引くぞ。」

最初はなんて怖い奴なんだって思っていた。
だって、目つきは悪いし、口はもっと悪い、そして態度はでかいし。無駄に身長もあるし。

「聞いてんのか?」

覗き込んでくるあなたの顔は本当に私のことを心配していて。

「シリウスって、優しいわよね。」

そんな風に言えば真っ赤な顔をして「馬鹿なこと言うんじゃない」って言う。

あなたの黒い髪も瞳も好き。この白い雪とのコントラストも大好き。
黒白<モノクロ>なのに、こんなにも好きになれるなんてあなたには感謝のしようがないわ。

「シリウス。ありがと。」

急な私の感謝の言葉に、雪を払っていた手を止める。
そして怪訝そうな顔をして一言。

「拾い食いでもしたか?」
「・・・。」

私は感謝の言葉を訂正すべきだろうか。

「ん?となると、ようやく薬が効き始めたのか?…いや、でも」

ブツブツと考え込むシリウス。
途切れ途切れに、朝食のとかあの薬の効果はとか聞こえてくる。

「シリウス。私の朝食に何を入れたのかしら?」

最大級の笑顔でシリウスに迫る。
その笑顔に危機を感じたのか、頬を引きつらせながら後退りをするシリウス。



「あぁ、またやってるよ。」
「折角、が素直になったのにあの男ったら何してるのかしら!」
「あ!蹴られた。」
「ど、どうしよう。助けに行ったほうがいいのかな。」
「いいんだよ、ワームテール。」
「そうよ。ピーター、ほっときましょう。」
「いいのかな?」
「シリウスにも灸を据えとかなきゃいけないだろ。」
「灸って?」
「痛い目にあわせるってことさ!ニホンの諺だね。」

外野もワヤワヤとやっている。
シリウスとの対決もまだまだのようだ。

シリウス。これでもあなたに心から感謝してるのよ。
『ありがとう』ってね。




後書き
シリウス!あぁ、映画が…