8月17日
クラスペディア
― 永遠の幸福 ―
問.永遠の幸福について述べなさい。
「亮の永遠のこーふくってなに?」
「…このままといることだな。」
「このまま?」
「あぁ、」
「・・・嫌だ。」
「・・・。」
「このままは嫌だよ。ウチは宍戸になりたい!」
「なっ!」
「・・・だめ?」
「・・・っしよう!」
「ん?」
「結婚しよう!」
「勿論!・・・おじさん聞いた?」
「え゛?」
「しっかり聞いたぞ!ちゃん、よくやった!」
「お、親父。」
「それにおじさんなんて呼ばなくていいのよ。これからは義父さん、義母さんって呼んでね。」
「おふくろ・・・。」
「勿論です!義父さま、義母さま!」
目眩がする。
さん、その手に持っている録音機はなんですか。
でも、これが俺らの永遠の幸福。
「ちょーたろー。」
「なんですか?先輩。」
「もう、先輩じゃないし。」
「すみません、さん。それで、どうかしたんですか?」
「ううん。なんでもない。」
「さんは、ずっと側にいてくれますか?」
「・・・随分急だね。」
「もう、離せないと思います。」
「・・・それ反則。」
「だめですか?」
「嫌なわけないじゃない!」
目を閉じて口付けを受ければ、私の頭には長太郎に寄り添う私が見える。
甘くって、暖かくって、ギュッと抱きしめられるなら、あぁ・・・これは私の幸福なんだと実感する。
「永遠に。ですよ?」
くすっと笑った長太郎を見る。
長太郎と永遠に一緒ならばそれは私の永遠の幸福。
「うわーん!終わんない。」
「落ち着きー。」
「侑士。」
「あとで手伝ってやるさかい。ちょっと休もうや。」
「・・・うん。」
「ほら、好きやったろ?。」
「うん、ありがとう。」
「で?何をそんなに悩んどるん?」
「論文でね。『永遠の幸福』ついて書かないといけないの。」
「永遠の幸福なー。」
「そう。」
「なになに?私の幸福は、好きな人と子供たちと仲良く暮らしていくことです。」
「侑士!勝手に読まないでよ!恥ずかしい。」
「良いんやないか?この好きな人って俺のことやろ?」
「・・・うん。」
「なら、あと必要なんは子供やな。」
近づいてきた侑士にあっという間に抱き上げられる。
「子作りしよか?」
「私、論文しないと!」
「後や後や。」
些細な抵抗は、ほんと些細なもので、私は寝室へと運ばれていった。
でも、これって私たちの永遠の幸福のためだよね?
「って、惚気を聞いたわ。」
「俺も聞いたぜ。そして最後に、お前たちはどうなんだってな。」
「私もよ。」
「それで?」
「それでって言われてもね?」
「だよな。」
「私は今で十分満足してるけど?」
「俺も別に今のままでいいけどな。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・。意地っ張りね。」
「・・・・・。可愛くねぇな。」
「・・・。」
「・・・。」
「まだ、これで良くないかしら?」
「そうか。・・・時間だ。」
時計のアラームが鳴り、別れの時間を告げる。
仕事へと向かう景吾を送りに席を立つ。
ドアを開き、外と内に立ち向かい合うと軽くキスを交わす。
「それじゃ、いってらっしゃい。」
「あぁ。」
ドアを閉めようとしたその時、!と呼ばれ放り投げ出された小箱を受け取る。
「行ってくる。」
それだけ言って行ってしまった。・・・小箱は綺麗にラッピングされている。
行ってくるって、それ以外に言うことはないのかしら?
憎まれ口を呟きながらも自然と口元が緩んでくる。
意地の張り合い。それが私と貴方の永遠の幸福みたいね。
解.それは人それぞれ。十人十色。
後書き
四季神の面子でやってみた。…ただの馬鹿ップル仕様になってしまった。