8月21日
サワギキョウ
― 敵意 ―
あの男とはそりが合わない。
同属嫌悪と言うやつか…。
「秀麗ちゃんに蘇芳、少し休憩をしましょうか。」
「でも…」
「あまり考えすぎると手詰まりになるわ。」
「そうだぞ、の言う通り休憩しようぜ。」
「・・・そうね。」
「随分勝手なことしてるじゃないか。」
「あら清雅じゃない。」
「こいつらの指導は俺のはずだ。」
秀麗と蘇芳を一瞥し睨んだまま言う。
睨まれていると言うのに、平然とお茶を啜りながらは言った。
「貴方なんかに指導させて、性格の悪さがうつったら大変じゃない。」
「お前も人のこと言えないと思うけど?」
「…大きなお世話だわ。それより、皇毅さまが呼んでいたわ。」
「っち。」
「それに、お生憎様。私はこの二人の世話役になっているのよ。あぁ、貴方の世話役でもあったわね。」
「・・・。」
「なにか?さっさと消えて頂戴。」
「・・・夜、行くからな。」
「はいはい。」
いっそう不機嫌になった清雅はそのまま執務室を出て行った。
清雅がいなくなったことで張り詰めていた緊張が解ける。
最初に口を開いたのは秀麗だった。
「ってば、凄いのね。」
「そうでもないわよ。」
「凄いわよ、ねータンタン。」
「いや、君も負けてないと思うけど。」
「確かに。」
クスクス笑いながら言うと秀麗は溜息をついた。
「それよりな、。」
「ん?何さ蘇芳。」
「清雅と夜になんかあるのか?」
「あぁ、夜這いに来るよってこと。」
「よ、夜這いですって!」
私の言葉にいち早く反応したのは秀麗だった。
聞いてきた蘇芳はと言うと成る程と呟き頷いていた。
蘇芳ってば、ホント目ざといと言うか、馬鹿そうで馬鹿じゃないから時々困るのよね。
「あぁ、!まさかあいつに脅されてるんじゃ。」
「ないない。」
「弱みは」
「握られてると思う?」
「思わない。」
「でしょ?」
まだ不服そうな秀麗を見て、仕方なく口を開く。
「あのね、私たち一応付き合ってるのよ。」
絶句の秀麗を見て、にっこりと笑った。
ホント見てて飽きないわね、揶揄いがいがあるわ。
「まぁ、秀麗ちゃんの気持ちもわからなくはないわよ。だって、私も清雅は嫌いだし。ほら、同属嫌悪って言うの?それに同期で男と女でしょ?互いに敵意むき出しだしね。」
「笑いながら言うことじゃないわよ。」
「そう?まぁ、そう言うことよ。それじゃ、仕事再開しましょうか。」
にっこり笑いかけると書類の山を少しずつ崩すため、それぞれ机に向かった。
夜に来るって言われて、仕事が終わらなくて出迎えられないのは嫌だものね。
秀麗ちゃんや蘇芳には悪いけど、処理速度を上げてもらうしかないわね…そんなことを考えながら、の手は一段と早くなっていった。
後書き
敵意は持ってるけど、なんだかんだ言っても…ってやつですよ。