8月25日
ペチュニア
― 君がいると心休まる ―
五番隊。
私の所属している職場はとても暖かかった。
隊長も副隊長も朗らかな笑みを浮かべ、下のものが失敗してしまってもそれを責めることなく次へと繋げてくれていた。
「ちゃん。」
「雛森副隊長。今は仕事中ですよ。」
「あっ!」
慌てて口を塞ぎ、辺りを見渡す彼女はとても愛らしい。
女の私から見ても可愛らしい彼女は、五番隊の花。
「それで、どうかしたの?」
「あのね、休憩にしない?」
首をかしげ尋ねられ、手元に視線をやりながら「ちゃんの食べたがっていたお菓子も手に入ったの。」と言われたら、誰だって頷くしかないと思う。
そして何処から湧いて出たのか後ろからは「いいね。僕もお邪魔してもいいかな?」と微笑を浮かべ尋ねてくる五番隊隊長・藍染惣右介。
「のわ!隊長。」
「こらこら、くん。女の子がそんな叫び方をしてはいけないよ。」
またもや、にこりと微笑まれれば頷くしかなくて私の肩をがっしりと?まれたまま隊長室の縁側へと案内された。
縁側に3人並んで腰掛け、他愛のない話をする。
6番隊の阿散井副隊長が大切にしていた鯛焼きの中身が激辛キムチになってたとか、3番隊の吉良副隊長は極度のストレスで胃に穴が開いたとか、11番隊の斑目三席がやちる副隊長に悪戯されて後頭部にも顔が描かれていたとか…
どこにでもある、他愛もない話をしていく。
「にしても、よく手に入ったね。」
手に持っている羊羹を掲げて言った。
この羊羹、ただの羊羹ではない。1日限定10個。その上、半年前からの予約が入っている超限定品なのだ。
甘党仲間の阿散井副隊長と幾度となく予約に挑戦したがことごとく敗れていた。
「実はね…それ、隊長が手に入れてくれたの。」
言いにくそうにしょんぼりしながら言う彼女をみて、ぎゅっと抱きしめたい衝動に駆られる。
「へー隊長も狙ってたんですか。」
「いや、それは貰い物なんだよ。どうしようかと思っていたら雛森君が君が食べたがっていることを教えてくれたからね。」
「そうだったんですね。」
また、羊羹を一口食べて、お茶を飲む。この甘さの後のお茶の渋さがたまらない。
こうして私たちの午後は過ぎていく。
後書き
久々の死神さん。リハビリ中です。お見逃し下さい!!