8月26日

ユーフォルビア
― 協力を得る ―



私はこの世界に呼ばれた。
数ある世界の調和の為に私はこの世界にいるある女を満たさなければならない。
何に文句があるのか分からない。
もしかしたら、女はこの世界全てにおいて不満なのかもしれない。
もちろん、自分自身においても…。

「ふぅ。」

溜息を吐きながら帰ってきたのは、私とは別の機関に所属している。
つまり、彼。古泉一樹は限られた場所…閉鎖空間でのみ能力を使える『超能力者』。
閉鎖空間に現れる神人を倒すのが超能力者の役目。倒さなければ閉鎖空間とこの世界とが入れ替わってしまうらしい。
そしてその神人を作り、閉鎖空間まで生み出しているのが、彼女。涼宮ハルヒ。
そして私の機関も彼女の行動に目を光らせている。
理由は単純。私の機関は数ある世界と世界を円滑に進めることにある。
勿論、世界は微妙に交わることがある。聞いたことがあるだろうが、それがパラレルワールドと言われるものだ。
自分の世界と全く違う世界とが一定の周期で同じ場所が交わる。そこがパラレルワールドの入り口。
しかし、涼宮ハルヒはその法則を無視して、いつでもどんな場所でもその入り口を開いてしまうのだ。
入り口と決まっている扉と扉を開くのならまだましだ、しかし彼女は世界の壁に穴を開ける。
世界の壁の修復は本当に大変で、ほっておけばどんどん広がっていくし、かと言って人員不足の我が機関では修復作業に手が足りなかった。
よって、修復をするより大元を抑えようと言う何とも単純明快な考えにより、私はこの世界へ呼び出された。

「お疲れ。」
「あぁ、いらっしゃったんですね。」
「いらっしゃったんですねってアンタ。呼び出したのはそっちの方じゃない。」

電話で部室で会いましょう。話したいことがあります。とそれだけ言われ勝手に切られて素直に部室へ言った私は馬鹿だったのかもしれない。
溜息を吐いていると、目の前に座った古泉はいつになく真剣な表情で言ってきた。

「お願いがあります。」
「なに?」
「こちらの機関と手を結んでくれないでしょうか。」
「…は?」
「貴方たちの機関は世界を円滑に進めたい。僕らの機関は閉鎖空間と世界の入れ替わりを止めたい。目的は違えどもやるべき事は同じように思えますが。」
「・・・。」
「どうでしょう?」

こちらを見て、にこりと笑う。

「私の一存では決められないわ。」
「そう仰ると思っていました。」
「そう。」
「強制ではないので、断っても構いませんよ。」
「ありがたいわ。」
「でも…」

言いにくそうに口を開いた古泉はそのまま、口を閉ざす。

「でも。なに?」

途中で止められると気になる。

「でも、出来れば協力して欲しいですね。」
「…なんで?」
「そうしたら、さんと共有の秘密が出来るじゃないですか。」
「・・・。」

私は、言葉を失ってしまった。



後書き
他の機関ヒロイン。めちゃくちゃな理論で御免なさい。