12月1日

ハボタン
― 祝福 ―




(*息子の名前が出てきます。『秋』です。)


ありがとう。君に会えたことは最大の幸福だった。
君と出会えた今日と言う日は、何の変哲もない日から特別な一日へと変化を遂げた。

!」
「まぁまぁ、お早いですこと。」

クスクスと笑いながらも門前で出迎えてくれたのは、自分の大切な人たち。大切な家族だった。

「ちゃんとお仕事はお済ですの?」

妻の問いかけに「勿論だよ。」と頷く。
未だ城にいる主上や絳攸には悪いと思うが、今日は特別な日だった。
妻に言ったとおり今日の分の仕事は終わらせてきたし、上司である主上にも同僚の絳攸にもちゃんと退出の許可を貰っている。

「それなら良いのですけど。」

にこりと微笑んだは、小さなくしゃみをした息子に邸に入るよう促し、楸瑛の手を取るとその後を追った。

「具合は良いのかい?」
「あの子なら大丈夫よ。もう寝るのに飽きたみたいで大変なの。」

苦笑し困った表情を見せても、が息子を瞳は暖かかった。
そうだ。この瞳に自分も惹かれたのだ。

「ならいいんだ。元気そうで良かったよ。」
「ふふっ、愛されているのね。妬けちゃうわ。」
「もちろん、のことも愛しているよ。一番にね。」

そう微笑んだのに、当の本人はきょとんとした表情を浮かべた後、フッと鼻で笑った。
口元に手を持って行き、クスクスと笑いながら「違いますわよ。」と呟く。

「なにがだい?」
「妬けちゃうのは秋がモテモテだからですの。私の秋なのに…。」

勝ち誇ったような視線の。彼女はそのまま秋のところまで駆け寄るとギュッと後ろから抱きしめて「可愛い、私のほうが大好きよ。」と言っている。
してやられた。と心で思えば、それに追い討ちをかけるように息子までもが口を開いた。

「大丈夫です母上!僕は母上が一番好きですよ。」

パッと輝くの笑顔。彼女は一層強く抱きしめて「流石、私の子ね!」と完全に二人の世界だ。
彼女のあの笑顔を見るのは自分だけだったのに、今はどうだろう。目の前の息子に全て持って行かれてるではないか。
ちょっと悔しくなって、苦笑しながら二人に近づいた。

。」
「なぁに?」

秋の目元を手のひらで隠し、もう片方の手での腰を引き寄せる。
冬の日というのに瑞々しい赤い唇にそっと口付けた。



後書き
息子の名前は適当に楸瑛の楸の字から…