12月2日

イオノプシス
― 美しい人 ―




美しい人。
それが彼に対する第一印象だった。まるで、従姉妹のお姉様が持っているビスクドールのようだった。
彼は初めての社交界で戸惑って、紹介されたにも拘らず親の後ろで小さくなっていた私の手を取り開場を飛び足した。
あとは、為されるがまま。
手を離して欲しいと言っても聞こえていないようで、屋敷の裏庭に辿り着くまで私は必死になって足を動かした。
途中なれないヒール付きの靴が脱げ扱けそうになった時、彼は私の体を俵を抱えるようにして抱き上げるとそのまま裏庭を目指した。
恥ずかしくて、恥ずかしくて、顔が真っ赤になっていくのが分かり、そのうち気絶してしまったことは今でも笑い種になっている。





そして、今。
第一印象の美しい人。はただの美しいだけでなく、色々と、それはもう色々ありすぎるくらい迷惑ごとを巻き起こしている傍迷惑な人と印象を改めた。
それでも、今こうして私の目の前に居るのは前と変わらずやはり美しい人で、何故だか涙が頬を伝う。

「なにを泣いているんだ!」
「泣いていないわ。」
「うふふふふ、は僕と結婚できて嬉しいんだろ!」

そう。
何を間違ったのか、私と彼は今日結婚式を挙げる。
西洋の婚礼衣装であるウェディングドレスに身を包み、タキシード姿の彼の元へ近づいた。

「泣き虫だな。は。」

「うるさい。」と言い返そうとしたが、その言葉は発されることなく静かに唇を塞がれる。
嬉しさで胸が一杯だということを伝えるのはちょっと癪だから、仕方なくといった風に目を閉じた。



後書き
・・・・・短い。短すぎる!!あぁ、申し訳ないです。