12月6日

サンタンカ
― 私を見つめて ―




   私を見つめて、どうかその目を逸らさないで
       私も貴方を見つめて、その目を逸らさないから

シリウス!!と叫びながら奴の大きな体に飛びついた。
勢いがあったのか、シリウスの体は前に倒れそうになるが、そこはクディッチで鍛えたバランスのよさでカバー。

「危ねーな。なんだよ。」
「なーんでもない!そこにシリウスがいたから。」

自分でも理由になっていたと思う。
でも仕方ないのだ。考えるよりもまず始めに体が動いてしまう。
呆れているシリウスを見ながら、ヘヘッと笑った。

「あーそういやさ、お前暇?」
「なんで?」
「ちょっと…いや、やっぱなんでもない。」
「こら、男だろ!言いかけたことはちゃんと言う!気になるじゃん。」

セーターのすそを引っ張りながら「話せ話せ」と言えば、根負けしたのか仕方なくという雰囲気を出しながら口を開いた。
少し気になっている子がいるという。まさかのシリウスが片想い!!吃驚しちゃうよね。
告白しないの?と聞いてみたら、シリウスはこの世の終わりのようなくらい表情を浮かべる。
まさか、…もう振られているとかと思ったがシリウスが言ったのは別のこと。ちょっとだけ残念に思うぐらいいいよね。

「告白したら、恐れ多いですって言われたの?」
「あぁ。」
「いったいどんな告白したのよ。」
「普通だよ。好きだ、付き合って欲しい。って。」

確かに普通だ。これで結婚してくれなんて言われていれば、恐れ多いと言わないこともないが、まぁ普通。

「断られてんのかな。」
「弱気ねー。」

落ち込んだシリウスなんて滅多に見られるものじゃない。
まぁ、それは置いといて。問題はその彼女だ。
聞くところによると大人しい子らしい。告白する前にはよく喋ってくれていたとも言う。
宿題を教えてもらったり、教えたこともあるとか…それなら嫌われているわけがない。
なら問題は?
…そう、このシリウスにある。と言ってもシリウスが悪いって訳じゃなくて、シリウスのファンクラブの人々。
結構過激な人が多いから、釘でも刺されたんだろう。勿論、私もシリウスと一緒に居ることが多くて何度か呼び出しを受けたことがあるが、三倍返しを鉄則としている私が反撃しないわけがない。
まぁ、そのせいあって彼女らの中で『には手を出すな』と暗黙の了解が出来ているとかいないとか…噂は定かではない。
つまり何が言いたいかというと、見込みがないわけじゃないと言うこと。
寧ろ、その大人しい彼女もシリウスのことが好きだろう。

「大丈夫だって。嫌いって言われたんじゃないでしょ?」
「あぁ。」
「シリウスはいっつも話題の中心にいるからそう思われただけじゃない。」
「だから…」
「シリウス自身を知ってもらうために、次のホグズミード行きを誘ってみたら?」

背中を叩けば、元気になったのか笑顔で「ありがとな。でよかったよ。」と言う。
悔しいから、彼女がきっとシリウスのことが好きだよとは言わない。私はそんなにお人よしじゃないのだ。

   貴方の瞳が私でないところを見ていることに改めて気がついた寒い冬の夜。



後書き
見てのとおり、悲恋です。だって、もう会うことないんだもん。