12月17日
カーネーション
― 忍耐強さ ―
(※浮気とかそういう感じが苦手な人はゴメンなさい)
これは一種の我慢比べ。
お互いが浮気をしているにもかかわらず、私たちは恋人同士だった。
「別れよう」その一言を互いに言うのが嫌で、何故か相手に少しでも執着しているように感じて、くだらない見栄とプライドのために私たちは浮気をしながらも恋人同士として振舞っていた。
「よく続くわね…。」
「あら、リリーとポッターの喧嘩ほどじゃないと思うわ。」
「もう!」
「怒らないでよ。ジョークよ。」
「最悪のジョークね。」
「…なに?」
「なんで付き合っているの?」
「さぁ?」
クスリと笑い、教科書を手にすると席を立った。
慌てて追いかけようとするリリーに、窓の外にポッターが居ることを教え「じゃ、次は授業だから」と言うと逃げるように図書館を出る。
タイミングよく怪談を登り、降り、人気のない教室にそっと滑り込んだ。
待っていた男子生徒にニコリと微笑みかけ、うっすらと埃の溜まった机に教科書をおろすと少しだけ埃が舞う。
「待ったかしら?」
「君を待つくらい、どーってことないよ。」
「ふふっ。」
「でも、いいのかい?」
「あら、嫌なの?」
男子生徒の首に手を回し、体を密着させる。
ねぇ、と自分でも鳥肌が立つほどの猫撫で声を出すとそれに答えるかの如く、男子生徒は私の唇に自分の唇を重ねようとした。
触れるか触れないか、指1本分の間。私の唇にも彼の唇にも爪の整った私の人差し指が当たっている。
呆気に取られている彼にニコリと微笑み、「駄目よ?」と言うと彼のネクタイを外し始める。
スルッと音を立てて落ちたネクタイを合図に私たちは体を合わせた。
事を終えた後、女々しく「今度はいつ会える?」と言う彼に「次はないわよ。」とクスリと笑いながら背を向け、最後の挨拶をすると教科書を持って教室から姿を消した。
フラフラと校内を歩きながら、雲の流れる空を見上げた。
何で、こんなめんどくさい事をしながらもあいつと付き合っているのかわからない。
あいつに執着していると言われれば、それは認めたくない。
認めたくないってことは、結局は執着しているのかと思いつつもそんな素振りは見せないようにあいつと出会う前の俺を演じる。
あいつと付き合って、その時はこれ以上ないくらいの本気。いや、今も十分本気だけど。
とりあえず、あいつと俺が付き合っても周りは本気にしなかった。
だから、女どもは俺につきまとってチャンスあればと今あいつのいる座を狙っていた。
付き合い始めて、半年そんな時に『シリウス・ブラックがハッフルパフの女の子と一緒に居た』噂が流れた。
弁解しようとあいつのところに行ったら、ちょうど噂が耳に入ったところだったにも拘らず「だから?別に浮気しようが別に関係ないわ。」と言った。
そう。
あれが切欠。それから、その言葉の通り俺が何をしようがお構いなし。
見せ付けるかのように他の女相手にキスしても「あら、お邪魔だったわね。」や「ここじゃ、先生に見つかるわ。空き教室にでも行ったら?」と促すほど。
…なんだよ。
本気だったのは俺だけだったのかと思いながら、かと言ってその彼女を手放すことも出来ずこんなダラダラとした関係を続けていた。
今日も「好きです!」と言ってきた後輩の女子生徒と軽く抱き合って、「これっきりな。」と言ったら叩かれた。
…なんで俺だけ。
そんな役回りだと思いつつ、頬の赤みが取れるまでフラフラと校内を歩いていたらあいつの姿を見つけた。
男の姿はなし。すっと近づき声を掛けるとすぐに眉根を寄せた。
「おい。」
「なに?」
「機嫌悪いな。」
「あなた、それ以上近づかないで。」
キッパリとしたの拒絶に、シリウスはピタリとその足を止めた。
「香水くさいわ。」
「お前もだろ。」
「…お互い様って事ね。」
クスリと笑ったは「まぁ、いいわ。夕食にはちゃんと行くから」とだけ言うとシリウスに背を向けて歩き出した。
シリウスも追いかけることもせず、とは逆の方向へ足を進める。
背中合わせの二人。
それを見ていたら厄介な友人たちが「相変わらずだね」と呟いていたことを二人は知らない。
後書き
本当は両思い。でも互いに依存したくない一心で意地の張り合い。…そんな感じが書けていたら嬉しいな。