12月25日
ポインセチア
― 私の心は燃えている ―
「知ってますか?ポインセチアって冬の花のくせして、霜に弱いんですって。」
この前花屋の店員に聞いた話を口に出した。
真横の彼は、へーと頷いただけでその視線は本にそそがれていた。
「今年になって、青色のポインセチアも出荷されているんですって。」
返事はない。
「赤と、黄色っぽい白に青。ほら、信号機みたいですよね。」
自分でもホントくだらないと思う。
それでも必死になって彼の意識を自分に向けたくて、店員さん受け売りの話を次から次へ話していく。
「名前はメキシコ公使であった、ポインセットさんに由来しているみたいです。メキシコではノーチェ・ブエナって呼ばれてるんですって!」
まだ、彼の目と意識は活字を追っている。私が頬を膨らしても、気付きもしない。
なんだか負けた気分になって、また最後のネタとなるポインセチアの話題を口にした。
「あと…」
吃驚する。
小さく声にしたその言葉には自分でも分かるくらい拗ねてしまった子供の出す淋しさの成分が含まれていた。
自覚をした途端、私の口は唇をかみ締め始め、頬をしょっぱい水が流れ落ちた。
「な、なんで泣いとるんや!!」
私が口を閉ざしてからすぐに彼は私を見て、ギョッとした。
恥ずかしいやら、情けないやらで私は、なんでもないと言いながら下を向いて、手で目を擦る。
「なんでもなくないやろ?」
「なんでもない!」
「…ごめんなー。」
なんで、謝られてるんだろ。
それは確かに、私が彼にほったらかしにされたのは悲しかった。でも、本に勝てないのは分かっていたことだし、勝手に悲しくなって、泣き始めたのは私の責任なのに…。
それなのに、目の前の彼は私の頬に残る涙の後を優しく撫でながらすまなそうに謝ってくる。
「違うんですよ。」
「違わへん。俺が、意地悪やった。」
「私が、勝手に泣いただけです!」
「…話、聞いてくれへん?」
真剣な目をして彼が私を見る。
コクリと頷けば、にっこり笑ってくれた彼は思いもがけないことを口にした。
「嫉妬…ですか?」
「そや。」
「私、浮気してませんよ。」
「うん、せやけど…仲良く話しとったから。」
それは仲良く話していたかもしれない。
だって、その人は花屋の店員で先ほど彼にずっと話していた雑学めいた豆知識を疲労してくれたのがその人だ。
「ちゃん、ごめんな。そんで、愛してる。」
「・・・。ずるい。」
「ちゃんは?」
「…大好きに決まってるじゃないですか。」
ギュッと彼の胸に抱きついて、真っ赤な顔を隠した。
後書き
アンケートにて希望のあったアリス夢ですよ!大変お待たせしました!!嫉妬で心が燃えていると思ってください。