地図を片手にやって来た、次のお宅は・・・。
「明けましておめでとうございます。」
「あぁ、おめでとう。正月なのに大変だな。」
「いえ、仕事ですから。あの絳攸さま。」
失礼にならないよう恐る恐る尋ねる。
「なんだ。」
「もしかして黎深さまいらっしゃらないのですか?」その問いにウッと言葉を詰まらせた絳攸を見てため息を吐いた。
「すまないな。」
「え!絳攸さまが謝ることではありません。」
「しかし・・・。」
「黎深さまには再度訪ねに来ますから安心なさってください。」
「あぁ、ありがとう。」
「いえ、それでは始めても宜しいですか?」
「ああ。いいぞ。」
「それでは、『新年のご挨拶〜行ってみる?あの家、この家、お宅訪問〜』紅家編。」
「紅家と言っても俺しかいないんだが…いいのか?」
「はい。構いませんよ。」
「そうか。」
「絳攸さまの今年の抱負について話してくれませんか?」
「抱負、そうだな。あの馬鹿王がまともになる事だな。」
「抱負って言うより願い事ですよね。」
「そうか?」
「はい。他にはないのですか?」
「あるぞ。常春が治るようにとか、女性官吏が増えてほしいな。」
「それも願い事ですよね?」
「んーここだけの話だぞ。」
そう言って絳攸がの耳元に近づく。
「今年の抱負も黎深さまに認めてもらうことだ。」
「ふふふ、いい抱負だと思います。」
「いつか、認めてくださると良いんだかな。」
「ええ、いつか、きっと。」
は絳攸を見て微笑むと次の家に行くべく室を退出した。



「黎深さま、いつまでそこにいらっしゃるのですか?」
「・・・・・・・。」
返事は帰ってこない。それでもなお話し掛ける。
「息子が絳攸さまで良かったですね。」
「フン。」
「ところで黎深さまの新年の抱負は秀麗ちゃんに名乗るでいいですか?」
「兄上とお茶をするも追加しろ。」
「はい。今年こそは頑張ってくださいね。」
「今年こそは・・・今年こそは・・・・・今年こそは………‥・・・」
ぶつぶつ言っている黎深をほっといて、次の家に足を運んだ。