Pi Pi Pi Pi…Pi Pi Pi Pi…パチっ。
「うぅーん。朝か。」
カーテンを開け大きく伸びをする、そして自室を出ると一階の浴室に入る。
シャワーから心地よい温度の水が出る、ボーっと浴びていると少しずつ頭も体も覚醒し始めてきた。
キュッと蛇口を閉めてタオルに身を包む。
ホグワーツ魔法魔術学校・・・・・昨日のことは夢?
いや、そんな事はない。手紙も手紙を運んできたらしいふくろうの羽根もちゃんと机の上にあった。
髪を拭きながらリビングに行くと皿が浮いていた。
皿だけじゃない、マグカップもフォークもナイフも、きれいに一列に並びながらダイニングテーブルへセッティングされる。すると今度はポットまでやってきて私のマグカップにはレモンティー、母にはカプチーノ、父にはブラックコーヒーをついでいった。同時にフライパンと小鍋もやって来て、ハムエッグとオニオンスープが用意された。始めてみる光景に唖然としていると、目の前を物凄いスピードで焼き立てのスコーンとクロワッサンが飛んでいった。
しばらくして鼻歌を歌いながらやって来る母と目が合う。
「ふふふ。ビックリした?」
「えぇ、とても。」
あぁー夢なんかじゃない。
突っ立っている私の背を押しながら「さっ、ご飯にしましょ。」と言う母。
先に席に座ってコーヒーに口をつけながら新聞を読んでいる父。
その新聞を覗き込むと、全て文は英語で、そして・・・そしてなんと写真が動いていたのだ。
「食べないの?」
「食べる、食べます。」
本当に、真面目に、ようやく実感する。
私の両親は魔法使いで、私はその魔法使いの子供だと。
朝食も終わり、イギリスへと行く準備をする。
制服があるみたいだから服は少しでいいし、問題はそれ以外。
あの本とあの本、あれも持って行きたいし、そんなこんなでまとめてみたものの入りきらない。
はぁー仕方ない。あとで送ってもらうか。
私服を2,3着に本を2,3冊、MDにやのおやつ、その他諸々をつめてケースのふたを閉めると階段を下りた。
「お母様、後で荷物送ってください。」
「あら?どうして?」
「どうしてって、入りきらなかったからです。」
「あら、そんなの魔法を使えばいいじゃない。」
杖を取り出すとアタッシュケースにむけて振る。あっ、軽くなった。
「さぁーこれで大丈夫よ♪他の荷物も入れちゃいましょう。」
また1振り。今度は2階から私の荷物が飛んでくる。アタッシュケースは勝手に私の手を離れ荷物をどんどん入れていく。
魔法って便利ね。ほんと。
「じゃー私、行ってくるわ。」
「気をつけてね。とは後で送っておくから。」
パチリとウィンクをする。そして私の額に優しくキスをした。
とをどうやって送るのかはあえて聞かないことにした。
外に出ると父は車を回してくれていた。私の荷物を受け取るとトランクへ。
「のりなさい。昨日渡した鍵は持っているかい?」
「勿論、地図も持ってきてるわ。」
鍵と地図はショルダーバックの中に。チケットもOK。忘れ物なし。
車に乗り込み、見慣れた風景を眺める。今日が見納めだもんね。
あっという間に空港に着き。アタッシュケースを持って受付を済ませる。
「ありがとう、お父様。行ってくるわ。」
「頑張るんだよ、向こうじゃ英語を使うんだからね。」
「分かっているわ。」
「そうか、じゃー。いってらしゃい。」
そういって父は私の額にキスをして、優しく頭を撫でた。
ピーンポーンパンポーン。アナウンスが流れる。
アタッシュケースを預け、機内へと乗り込んだ。
ふー。何日掛かるのかしら?
出発まで後10分、イギリスまで後2日。
2話目終了です。ようやく舞台はイギリスへと向かいます。
機内の様子〜イギリス到着、ホテルへGOのシーンは作者の都合上省略です。
3話目はホテルの中から!始まる予定。