ガヤガヤ、ワイワイ、ザワザワ。
ここはロンドン。ダイアゴン横丁。聞いたことないって?それはそうよ。
私、・も今まで知らなかったのだから。
えーダイアゴン横丁。魔法使いの街だ。物珍しい格好の人ばかり。
「、グリンゴッツ銀行に行きたいわ。知ってる?」
「あー勿論だ。」
「よかった。迷子なんてなったら大変だもの。」
の手も握って人ごみの中に入っていくと、グリンゴッツ銀行という看板のついた建物前についた。
そして、と私は銀行前に立ち止まっている。
「入らないの?」
「主人だけ行ってくれ。ここで待っている。」
「・・・わかったわ。行ってきます。」
を尻目に銀行内に入り、窓口らしきところに足を進める。
え゛…。人間じゃない。それに恐そう。
「あのーお金を引き出したいんですけど。」
「鍵をお持ちかね。」
「鍵ならここに。」
父から渡された鍵を出すと恐そうな人じゃないものは奥へと続く道に入っている。
ただボーっと見ているとまた奥から出てきて「来て下さい」と怒鳴られた。
よく状況のつかめないまま奥に行くとトロッコに乗せられ、物凄いスピードで発車した。
「いやーーーえ!ぶ、ぶつかる!!下げて、速度を下げてよ!」
「一定に決まってます。」
「そんなー。耳が痛い。」
ガコン。キィィィ。
・・・止まった。気持ち悪い…ジェットコースターなんて目じゃない。
「1014番金庫です。どうぞ。」
「あっ!はい。」
開かれた金庫の中に入る。
金庫って言うより部屋だよね。うん。5、6畳はあるんじゃないかな。
「さて。」と金貨と銀貨、銅貨の山を見る。
もしかしなくても私の家は金持ちだったのね。って私、こっちのお金の単位知らない・・・。適当でいっか。
に貰った袋に金貨と銀貨、銅貨を一掴いれる。
「じゃー帰ってもらえますか?」
「お乗り下さい。」
行きと同様に素晴らしいスピードで帰っていった。
鍵を返され、お金の入った袋をバッグにしまうとの待つ外に出る。
「。」
「主人。・・・遅いぞ。」
「一緒に行ってもらわないと、私こちらのお金の事知らなかったわ。」
「そうか。金貨がガリオン、銀貨がシックル、銅貨がクヌートだ。」
「ガリオン、シックル、クヌートね。」
「そうだ。1ガリオンが17シックル、1シックルが28クヌートになる。」
「OK。じゃー次はローブと杖に箒を買って、本屋に行きましょう。」
「教科書は学校から配布されるんじゃなかったのか?」
「ん?あぁーこの1年分はね。急な入学だったし貸してくれるみたい。でも、今日買いに来た本は別。」
「別?」
「予習っていう好奇心。色々ね知りたいのよ。」
「無理をして体を壊すなよ。」
「そのときはとが助けてくれるでしょ?」
「・・・・・。」
沈黙しこちらを見つめてくる。視線が痛い。
「わかってるわ。無理はしない。さぁ、あなたは蛇に戻ってちょうだい。」
「了解した。」
シュッと音がしたと思うといつものようにはの左腕に巻きついて肩に顔を乗せていた。
(ねーグリンゴッツ銀行にいた経営者ってなんなの?)
(子鬼だ。子鬼と揉め事を起こすのは狂気の沙汰だな。)
(ふーん。で?なんではいかなかったの?)
(あのトロッコは苦手だ。)
(あぁ、確かに。あれはキツイもんね。あ!あれかな?)
マダムマルキンの洋装店の鞄を目で指しながら歩いていった。
カラン。カラカラン。
ドアをあけると軽やかなベルの音がする。
「あらお嬢ちゃん。1年生?」
「5年生よ。今年からなの。」
「まぁー珍しい。さぁ、この台に乗って背筋を伸ばして。」
女性店員は腰に手を回して腰回りを測る。そのまま上にあがり胸部を。
がいない!どこいったのよ。
キョロキョロと辺りを見渡すと「動かないで、ずれちゃうわ。」と店員から注意する。
そー言っても、・・・あ、いた。
バッグから顔を出している。
よかった・・・。を見て叫ばない人なんていない。
下手をすると殺してしまうかもしれない。だから体を触られた時心配だったんだが・・・。
そんな心配は無用だったみたいだ。
「さぁ、いいわよ。用意するわ。」
台から降りて鞄を取る。を見るととぐろを巻いて寝ていた。
ローブと制服を受け取り支払いを済ませると、次は杖を買いにオリバー杖屋に行く。
「あのーすみません。」
梯子で移動しながら片付けをしてるおじいさんに声をかける。
「すみません。杖をください。」
「ん?おぉーお客さんか。さぁ腕を出して、勿論利き腕だよ。」
巻尺で私の出した右腕を計る。
そんれだけで、魔法の杖が買えるのか。…凄いな。
「んー」
おじいさんは再び梯子に登りガチャガチャ棚を引っ掻き回す。
「これはどうかのぉー。ニレの木、ユニコーンの角、21cm。変身術に向いておる。」
「どうも。」
差し出された杖を持つ。・・・どうしろと?
「振りなされ。」
そんな私を知ってか知らずになのか、おじいさんは満面の笑みで言った。
母がやっていたように杖を一振り。
ガッシャーン!!ベキッ、メキッ!バタンバタン。
けたましい破壊音が聞こえる。
「失敗じゃ。これはどうじゃ?ヒイラギの木、妖精の粉、26cm。妖精術に向いておる。」
また一振り。
今度は店の天と地が逆になってしまった。
「失敗か…どれがいいかのやら。」
おじいさんはブツブツ言いながら箱を開け、杖を確かめ、首を振る。
・・・時間掛かりそう。そう思って棚を見たとき私は目を疑った。
「・嬢専用。・・・ちょっ、ちょっと、おじいさん。」
「これじゃ、これなら良いかもしれん。」
「あぁ、ありがとう。あの、そうじゃなくて。アレ。」
「ん?なんじゃ。」
「・嬢って。」
「お前さんは知らなくて当然かの。家は生粋の純血一族での、なかでも嬢は幼い頃から力の強い子供だったらしい。…無駄話をしてしまったの。」
おじいさんは突然、遠い昔を見るような目で話し始めた。
「だから、私、・なんだけど。」
「なんじゃと!帰った来たのか家が。…振ってみなされ。」
差し出されたのは真っ黒な杖。光に照らされ所々赤っぽく見える。
「榊の木、蛇の血、狼の鬣、30cm。」
おじいさんが固唾を呑んでこちらを見ている。
深呼吸をすると一振り。
天と地が逆さまになっていた部屋は元通り、割れたものは直り、綺麗さっぱり片付いていた。
「そうか、お前さんが…」
「えーっと。これ、いいの?」
「勿論じゃ。御代はいならいよ。」
「そう。ありがとう。手を煩わせてごめんなさい。じゃっ」
ガチャ。杖屋から出る。次は本屋にでも行こうかな。
鞄の中で器用に寝ていたを叩き起こして本屋へと足を運んだ。
「不思議じゃ。榊の木は神聖なる力、蛇と狼は闇の使い。
相反するものを一つにまとめるなど・・・あの子の力はいったい。」
5話目です。
ここまで来てようやく題名が決まりました。