(まだか。)
(まだよ。)
(買えばいいだろ。)
(全部買うなんて勿体無い。)
(早くしろ。)
(わかってる。人ごみは嫌いなのね。)
(そうだ。)
(じゃー、ほら、あっちは空いてるみたい。)
(いや、主人。そっちは)
の言葉を聞かず本を手に取る。
なになに?闇の魔法大図鑑?闇の魔法ね…黒魔術ってことかしら。
ふーん。・・・げっ。
(これ読む人いるの?)
(主人も呼んでいるじゃないか。)
(じゃー使う人は?)
(いないとは言えないな。)
(あーそー。)
本に載っているのは三大呪文。
人に向かって使う人が居るんだったら、・・・よっぽどの人よね。
そのまま本を置いて、別の本を取る。
闇払いへの対処法。
闇払いって職業の名前なのね。闇の魔法を払うための警察官ってとこだろう。
次、呪百選。うわーオカルト。
人間界も魔法界も変わんないわね。・・・おもしろい。これ買おうかしら?
ドン。バサバサッ。
「あっ!」
後ろに人がいるなんてわからず後ずさりぶつかってしまった。
そのまま本も下に落下。
「あ、あのごめんなさい。怪我はないかしら?」
「呪百選。」
「あぁ、それは…」
「お前のか?」
「いいえ。読んでいただけ。」
「これを見るんだったら、ヴァーリ著の応用呪術のほうがいいな。」
「そうなの?」
「それは甘すぎる。それに記述も間違いがあるな。」
「へぇー。ありがとう。…それじゃ、私まだ買い物あるから。」
男の子の手にあった呪百選ともう1冊を適当に取ると支払いを済ませた。
(。今日は帰ろっか。)
(まだ、箒を買っていないぞ。)
(うん。まぁ、でも疲れちゃったし。また明日ね。)
(うん。)
フルーパウダーで漏れ鍋からホテルの一室へ飛ぶ。
コーヒーカップに乗ってぐるぐる回されてるみたい。この移動方法ははあまり好きじゃない。
「お帰りなさい。ちゃん、はどうしたの?」
「寝てるわ。私も疲れたからちょっと休むわね。」
「そう。ご飯はどうするの?」
「食べるわ。」
「よかったわーママ張り切っちゃう。」
「楽しみにしてます。」
実年齢をものともしない母親を見てベッドルームに入る。
「ー。何買って来たんだ?」
「本。お父様やお母様には内緒よ?」
先ほど買った本をに見せる。
「うわっ、呪百選に闇払いと闇魔法。変なの買ってきたな。」
「そう?結構面白そうだったわよ。ほら、呪返しなんてどう?」
「使うなよ。」
「使わないわよ。必要ないもの。」
「そっか。の奴は?」
「寝てるわ。人ごみだったから疲れたんでしょう。」
「だから俺を連れて行けばよかったのに…」
「だって、と行くと目的忘れて遊んじゃいそうだったし。」
ウッと詰まりつつも「次は俺も連れて行けよ。」と言ってきたに笑顔で返す。
「はいはい。それで、これ何?」
机の上の本の山を指す。
「教科書だとよ。ダンブルドアが持ってきた。」
「へぇ、でも、これ1年って書いてあるわよ?」
本の背表紙を見て確かめる。
これは1年。これは4年。
「自学してこいってことかしら?」
「さーな。」
冷たいの一言。
本の中身をパラパラと捲り内容を斜め読み。
どれを試してみようか・・・
「これなんてどうかしら?」
目に留まったのは初級呪文。
「うん。ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」
「うわっ!なんで俺なんだよ!」
「成功みたいね。で、どうやって降ろすのかしら?」
ビューンと上昇し、フワフワと宙に浮いているを見て満足そうに微笑む。
また、パラパラと本を捲り降下の呪文を探す。
「ギムンディアム・降下。」
ボフッ。ゆっくりとまではいかなかったが、クッションの上にが落ちた。
「これって成功したのかしら?ねー。」
いつまで経っても起き上がらない使い魔に声を掛ける。
「?」
「・・・・。」
「?寝てるの?」
「・・・Zzz。」
どうやら不貞寝することにしたようだ。
バレバレの狸寝入りだがそこはあえて突っ込まず、ブランケットを駆けてやると机に向かった。
教科書を開く。
もともと、人間界でも頭の良かったは多少理解できない文章や理論があるものの大体1・2年で習う魔法は使えるようになった。
特に興味を持ったのは魔法史と魔法薬学。そして、闇魔法に対する防衛術。
もしかしたら、血の契約について学べるかもしれないと思ったからだ。
幼い頃から痣だと思っていた胸元にある模様は血の契約によるものだと言う。
私も、も、も。血の契約を行ったときの事を覚えていないため、血の契約が如何なるものかばや判っていない。
ただ、ダンブルドアが言っていた。
『血の契約は誰でも結べるものではない。純血の貴族であろうと、首席のものであろうと、どんなに力を持ったものであろうと血の契約を結ぶことは出来ない。失敗すれば自身の体は灰になり散ってしまうらしいのじゃ。』
じゃー何故、私は生きているの?
『ヴォルデモードもその力を欲した。』
私は闇に染まるのかしら?
『、自分の信じる道を行くのじゃ。』
自分の信じる道。まだ、私は闇に染まらない。
ヴォルデモードが会いに来ても、それは私の道じゃないから…
6話目です。
ここまで来てようやく題名が決まりました。