本当に感心するわ。魔法界って意外に身近にあるものね。
ここにが居たら話たいことが沢山あるのに。
先にダンブルドアの元へ行ってしまった無責任なペットのことを思い溜め息を吐いた。

「とにかく席を探さなきゃ。」

空いているコーパメントを捜しながら進んでみたものの出発が近いせいか何処もいっぱいだ。

「これじゃー着くまで立っとくしかないか。」
「君、座るところ捜してるのかい?」
「うわっ!?えぇ。」

急に話し掛けれてドキッとする。
後ろを振り向くとハシバミ色の瞳をもつ眼鏡少年がニコニコと笑い掛けている。

「なら、こっちにおいでよ。」
「えっ。ちょっと!」

手を取られ一番後ろの車両にあるコーパメントに連れていかれた。

「ジェームズ何やってたんだよ。」
「そんなに怒るなよ。さぁ、どうぞ。」
「ありがとう。ごめんなさい、お邪魔してもいいかしら?」
「誰だ?」
「転入生だよ。」

私が口を開く前にハシバミ色の瞳をもつ少年は答えた。
・・・あれ?何で知ってるのかしら。私、まだあいさつしてないわよね?

「なんで知ってるの?当たってるけど。」

すると少年はフフンと機嫌よく笑うと「当たり前じゃないか。僕は悪戯仕掛人だよ。」と、自慢げに言うのだ。
悪戯仕掛人?よく分からないけどあんまり関わらないほうが賢明かも。

「今年から通うことになったと言うわ。よろしくね。」
「もちろん。僕はジェームズ・ポッターこっちはシリウス・ブラック。グリフィンドールの5年生さ。」
「私も5年生よ。」

そしてたわいもない話をホグワーツに着くまで話した。
シリウス・ブラックはあまり話さなかったけど、女嫌いなんだろうなと気にしなかった。

「Ms.あなたはこちらに。」
「はい。Mr.ポッター、Mr.ブラック、今日はありがとう。」

またねと手を振るジェームズと未だ眉間に皺を寄せているシリウスを横目にマクゴナガルの元へ駆け寄った。



「校長先生がお呼びです。」

案内された場所は変な像の前。
その変な像の前にマクゴナガルは叫んだ。

「ミントチョコ」

ガガガガゴウゴウ。

なによ!急に!崩壊でもするの!
そんな心配も束の間。・・・・あぁ、開けゴマ!みたいなやつね。

「さぁ行きなさい」

マクゴナガルに背中を押され現われた階段を上る。

「失礼します。校長先生。」

ノックして部屋に入るとがダンブルドアと優雅にお茶をしていた。

「主人もどうだ?」

が器用にティーカップを差し出すとダンブルドアも席に着くよう促した。

「ダンブルドア校長。何故呼ばれたのでしょうか。」

「力は安定しているようだね」
「はい。」
「さて、の事なのじゃが。多分他の生徒は恐がるじゃろう。」
「そうですね。」
「勿論、が人を襲わないにしろ嫌な噂は立つものじゃ。」
「かまいません。他の人が迷惑に思うのならこの子たちは離れていてもらいましょう。」
「それはいかん。一応、君の為に各寮に部屋を準備している。」
「有難うございます。」
の事は自身で決めてよい。話しても良いと思ったら話なさい。」
「えぇ。そうします。」
「そろそろ組み分けの儀式じゃ。」

立ち上がったダンブルドアの後ろに付いて行き部屋をでて大広間へ行く。
私、本当にホグワーツに来たんだわ。
絵が動いているし、天井は星空を映し出し、幽霊みたいなものが浮かんでいた。

「まずは、一年生の諸君おめでとう。今夜は互いの仲を深めるとよい。次にじゃが、転入生を紹介しよう。、5年生に入ることになる。」

ダンブルドアの紹介と共に現れたに拍手が飛ぶ。
は真ん中の椅子に座らさせられ古ぼけた帽子が頭にのせられる。
えっ?なに?なんなのよ!

『おやおや。家の子だね。』
頭の上で話し声が聞こえる。まさか、この帽子喋れるの!?
『さてさて、君はどの寮に入れたものか。』
『何処でもいいわよ。』
答えながら、魔法学校らしい組み分けの仕方だなと思う一方でこんなんでいいのか!?とも思っている。
『そのようだ。君はどの寮でも上手くやれる素質がある。』
『あら、嬉しい言葉をどうも。』
『どんなことも越える力がある。乗り越えるこの力は勇気。君の寮は―――』

「グリフィンドール!!」


グリフィンドールの机から歓声が興る。
新入生と同じように組み分け帽子を置きグリフィンドールの机へと歩いて行く。
えーっと何処が空いてるかしら?視線を前から後ろに動かす。
ばちっ。
あぁーあっちゃった。しかも逸らさないし。
そして、の思った通りにこやかに手を振り、叫んだ。

ーこっちにおいでよ。」
「ありがとう。ポッター。」

社交辞令で交わすとジェームズの横の席に座る。
前には温和そうな少年と少し挙動不振な少年が座っており、ジェームズの隣にはシリウス・ブラックの姿があった。

「僕はリーマス・ルーピン。よろしく。」

温和そうな少年から手を出される。

「よろしく。よ。」

握り返して微笑むと隣の少年も差し出しているのに気付いた。

よ。あなたは?」
「ぼ、僕ピーター・ペティグリュー。」
「よろしく。Mrペティグリュー。」

一通り挨拶をすませると席につき食事を始めた。
かぼちゃパイも、ローストビーフもヨークシャープディングも凄くおいしかった。
のために少しだけかぼちゃパイを持って寮へと歩いていった。
勿論、ジェームズ達と一緒だったが・・・。

「ジェームズ!あなた、もぅさんに悪戯するき!」
「愛しのリリー。」

赤毛の女の子が走って来る。

「うるさいわよ。私、リリー・エヴァンス。リリーって呼んでちょうだい。」
「わかったわ。私の事は、でいいから」
「これからよろしくね。さぁこっちよ、私と同じなの。」

リリーに引っ張られ階段を上る。
後ろから「リ゛リィー」っと、涙ぐんだ声が聞こえたのは気のせいじゃないだろう。
後ろを振り向かず、リリーの後を付いていくと、女子寮のある部屋に入り、そしてリリーはにっこり笑った。

。改めてよろしくね。」
「こちらこそ。よろしくリリー。」

ベッドの数を見ても2つしかなかったのでリリーと2人部屋みたいだった。
そして、リリーに色々質問されながら始まった会話は、真夜中を過ぎてようやく終止符が打たれる。
ジェームズ・ポッターの言っていた悪戯仕掛人は、教授やスリザリンの生徒に対して悪戯をする傍迷惑な奴ららしい。そのリーダーがMrポッターで先程の4人が悪戯仕掛人だそうだ。
・・・・・私って、運悪かったみたいね。しょっぱなからそんな人達と顔見知りになるなんて。
疲れた。寝よう。明日から授業だし。

「おやすみ。。」

ポツリと呟く。
ん?居ない。何処行ったのかしら?・・・・・!
ヤバい。すっかりサッパリ忘れてた。
は一足先に隠し部屋に居る。その部屋はダンブルドアが見つけた部屋らしく、他の生徒は勿論、先生達も知らないと言う。
偶然、見つけたとしても合い言葉が合わなければ隠し部屋には入ることが出来ない。つまりを隠すには絶好の場所だと言える。

「どうしよう。」

行くべきか、行かないべきか。今夜、行かなくても明日行けばいいことだし。
なにより、今夜は眠りたい。

明日は絶対行くから・・・・・

「おやすみ。」

私の瞼はゆっくりと落ちてきた。




9話目です。
二章突入です。