「リリー。これはどうなるのかしら?」
「あぁ。これはね。えーっと・・・。」
「そこはこれをこうするんだよ!」

の持っていた羽ペンは宙に浮き、羊皮紙の空白に文字が書き入れられる。

「ジェームズ!」

リリーの叫び声で後ろを振り返ると、ジェームズがニコニコと笑いかけてくる。
羽ペンを受け取り、笑顔でお礼を言うと先ほどの表情とは打って変わったような鋭い視線をおくる。

「なにか、聞きたいことでもあるのかしら?」
「流石!鋭いね。」
「まぁ、…あれだけ見られれば気付かない方がどうかしてるわ。」

そういったの表情は呆れかえっていた。
「血みどろ男爵のことでしょう?」とが問えば、その問いにコクコクと首を縦に振る。

「本当よ。でも、それだけ。何もないわ。だから…他の3人も出てきたらどうかしら?」

の視線はジェームズの後ろの本棚を見ている。

「まだ、出てこないつもり?リーマス。ピーター。Mr.ブラック。」
「彼らが見えてるのかい!」
「ジェームズ、足元を見て御覧なさいよ。」

の言う通りに足元に視線をおくるとそこには、見えるか見えないか2cmほどの隙間から誰かの足が見えていた。
観念したのか、バサリと音を立てて今まで誰もいなかったところから3人の姿が現れた。

「それ、凄いのね。」
「またマントを使って!!」
「これを被ると姿が消えるんだ。」

リリーが怒っているのにも気にせず、ジェームズはエヘンと胸を張って威張る。

「魔法のマントなんだ。」
「ジェームズのなんだけど、僕らが使うこともあるんだよ。」

蛇足的な説明をどうもありがとう。ペーター、リーマス。
心の中で感謝しつつ、魔法界には便利なものがあるんだなぁと思う。
ピンと思いついた名案。

「ねーこれ、貸してもらえない?」
「何を言ってるの!ってば!」
「いいけど・・・どうして?」

リリーとジェームズの反応は真逆。
予想通り。でも、ここで諦めたらあの子達に会いにいけなくなる。

「リリー落ち着いて、私は別に悪戯をするわけじゃないのよ?」
「でも…。」
「ちょっと人目に着きたくないことがあるの。」

だから、心配しないで。とリリーを見る。
そんな私たちの間にOK.OK.と割っては言ってくるジェームズは私に向かってウィンクをすると魔法のマントを差し出した。

、その事はいつかは話してもらえる?」
「そうね…了承が得られたらその時には。」

私の一存では返事が出来ない。
なにせホグワーツにはフクロウとカエル、猫以外は持ってきてはいけない。
のことを言ってしまったら、必然的にダンブルドア校長に特別に許可が下りていることを言わないといけなくなるだろうし。
きっと目の前の彼らが特別な許可について考えないわけはないだろうから、・・・契約についても話さないといけなくなる。
・・・うん、今は無理と再確認したところで、ジェームズを見るとニッコリ笑いかけていた。

「いいよ、それでも。」
「ありがとう。」
「それで、いつがいいの?」
「出来れば、今夜。」
!」
「リリー。私、そんなヘマはしないわ。」

でも…と引き下がらないリリーをジェームズが上手く宥め、夕食後、談話室でと言う。
は頷くと本を片付け、リリーと一緒に図書室から出て行った。

残されたのは4人。
「おい、今夜は俺の番だったよな。」
「そうだったけど、が…。」
「ッチ。誰の足が見えてたんだ。」
「ぼ、僕の足。」

シリウスが不満げに怒鳴ればそれにビクリと肩を震わせペーターが手を上げる。

「まぁまぁ。」
「シリウス。君の背が高すぎだからいけないんだ。」

サラリと水を差すリーマスをシリウスが睨みつけたものの、「ん?なに?」と笑っている。

「夕食食べに行こうよ。」

4人は顔を見合わせると頷きあい、図書室から走って出て行く。
後ろの方からマダム・ピンスの怒鳴り声が聞こえてピーターがこけた。




12話。
原作は終わったけど、のんびりと…。頑張ります。