はぁーいつかはくると思っていたけど………物好きも居たものねの前には書簡の山。
すべてお見合いの写真である。



お見合い宣言



「おはようございます。主上。」
。どうしたのだ?」
「どう、とは?」
「なんだか機嫌が悪そうだ。」
「そんなことありませんわ。それより、こちらに目を通してもらっても宜しいでしょうか。」
「なんなのだ?」
「吏部尚書より陛下にと。」
「・・・ぅむ。わかったのだ」
「そぅ嫌な顔しないで下さい。秀麗殿と私から差し入れです。」
「秀麗から!」
「はぃ。桃饅ですよ。お茶請けにどうぞ。」
「もちろんなのだ。」
「主上。」

入室を告げる声と共に絳攸の姿があった。

「では、私はこれで。主上、李侍郎様失礼いたします。」

王の執務室を出て、見合いの書簡を送ってきた雇い主の処に行く。

「失礼します。吏部尚書様。」

流石と言うか、なんと言うか。見事に書類に埋め尽くされている。

「・・・いない。大方、邵可様のところか鳳珠様のところに遊びに行ってるんでしょうね。」
「ふん。ここに居る。」

後ろの方から声がすると思ったら探し人があらわれた。

「居るんなら最初っから居て下さいよ!」
「ふん。私の勝手だ。」
「私をあなたの勝手に巻き込まないでください!」

急に真面目な顔つきになって話し始めた。

「届いたか。」
「えぇ、山ほど。」
「どうするつもりだ。」

変わらず険しい顔で言ってくる。
私がなんと答えるかわかっているくせにわざわざ尋ねるなんて。

「お見合いに行こうかと思います。」
「あれには?」
「言うつもりです。」
「酷なことをする。」
「黎深様の方が酷いじゃないですか。」

絶対、黎深様の方が鬼畜だ。私と絳攸が付き合っているのを知りながら見合い話を持ってきて、その見合い合いても相手だ。
見合い相手には楸瑛や鳳珠さま静蘭さんなど顔見知りだらけ。

「あれは王のところだ。」
「知ってます。それでは。」

吏部尚書の執務室を出る。
今から絳攸にあって見合いのことを話さないといけない。正直気が重い。
とにかく、動きださなきゃどうにもならない。私は絳攸を捜しに行った。
主上の執務室を訪ねたが少し前に出ていったらしい。

「どこを迷ってるのよ。」

見渡せど絳攸の姿はなく。情報も入らず、途方に暮れていると目の前から喧嘩をしながら歩いてくるもの二名。

「みつけた。」

は二人に駆け寄る。

「絳攸。どこほっつき回ってるのよ!」
、べ、別に迷ってたわけじゃないからな!」
「そんなこと聞いてないでしょ!」
「まぁまぁ、いつものことじゃないか。」
「楸瑛。・・・まぁ、そうね。」
「それより何かあったのか?」
「えぇ。」

深く深呼吸をする。
しっかりと絳攸を見据えて。

「私、お見合いするわ。」
「え?」
「それは、私とのかい?」
「まぁね。他の候補者の人ともするけどね。」

私が見合いを承諾したことに衝撃を受ける面々。
まぁ、楸瑛は面白いことになったと喜んでいるようだが、問題は絳攸。顔面蒼白の絶句の状態。

「・・・絳攸?」
「・・・ん、あぁ、なんだ。」
「次の公休日に漣雅亭であるわ。」
「公休日・・・明日じゃないか!」
「えぇ。勿論、迎えにきてくれるわよね?」

首を傾げてお願いする。
きっと彼の頭のなかはどうやって大量の仕事を片付けようか考察中だろう。

「明日、漣雅亭で会いましょう二人とも。」
「あぁ、明日。」
「絳攸は?来てくれないの?」
「いや、行く!」
「じゃー待ってるわ。」

それじゃーと去っていったを見送り二人きりになった絳攸と楸瑛。

「なんで今まで黙っていた!」
「まさかが承諾するとは思っていなかったからね。」
「それはそーだが。」
「絳攸、そろそろ腹を括るしかなさそうだよ。」

楸瑛の言葉に逃げ場がないことを自覚する。

「仕事をしてくる。」
「あぁ、・・・ところで絳攸。吏部はあっちだよ。」
絳攸が歩きだした逆の方向を指差す。


はたして、李絳攸は明日、漣雅亭に行けるのか。