こんな日常



「しゅーれい。秀麗に会いたいのだぁー」

机の上に倒れこみブツブツ呟いているのがこの国の王、紫劉輝だ。
こうなってしまうと手の施しようがない。
山のようになっていた書簡は片付けられる事なく、その上優秀な補佐が次々と書簡を積み上げていく。
よって、山は高くなる一方であった。
しばらくすると、その優秀な補佐の一人李絳攸の堪忍袋の緒がプツリと切れてしまった。

「いいかげんにしろ!この馬鹿王が!」
「うぅぅ。」
「まぁそう怒らずに。主上も泣かないでください。」

もう一人の補佐、藍楸瑛はいつものポジションに収まりつつあった。

「李侍郎どの。お茶の用意が出来ました。休憩しましょう。」

主上つきの女官がお茶と茶請けを持ってきた。
劉輝にしてみればまさに神、女神。なぜか絳攸はに逆らえない。
つまり、>楸瑛≧絳攸>劉輝と言う図式がこの執務室にはあった。(劉輝談)
そして、そんな隆起の考え通り絳攸は「あぁ」と承諾していた。

「さぁ、今日は菊花茶と胡麻団子です。」
「うむ、のお菓子は美味しいから好きだ。」
「ありがとうございます。ところで主上。」
「なんだ?」
「いとせめて恋しき時はうばたまの夜の衣を返してぞきる。」

急に和歌を詠みだしたを不思議そうにみる。

「あれ?知りませんか?」
「知らないのだ。」
「衣を裏返して寝ると思い人に夢で逢えるんですよ。」
「そうなのか!?」
「はい。だから今日は頑張ってお仕事終わらせて夢の中で秀麗さまにお逢いしてください。」


そして、見事に書簡の山を片付けた劉輝が夕食もそこそこに臥室に向かっていたことが日記に書かれてあった。