いいねぇ。俺そういうの好きッスよ
学校。
それが俺らの戦場。
クラスも学年も違う俺らが会うのはもっぱら廊下。
そして、今日も。
擦れ違う時に腕を絡ませ、さっと視線が絡み合う。
「なに?」
「なんでもないッスよ。」
「だったら、放して下さい。」
睨み付けたのに彼は嘲笑っている。
「いやッス。」
「・・・。」
「そんなに睨むと可愛い顔が台無しッスよ。」
「結構です。」
私の態度にはぁーと、ため息を吐く彼。
こっちが吐きたいくらいよ。
「そろそろ、俺に惚れましたか?」
「バッカじゃない。」
「はぁー。」
これ見よがしに吐かれるため息。
「迷惑なのよ。切原くん、いい加減にしてくれない?」
「じゃーさっさと惚れてくださいッス。」
駄目だ。彼は退くことを知らない。
こんな公共の全面で押し問答する気にもなれず。
その上、集まった野次馬達が正直、鬱陶しい。
「なら、ゲームをしましょう。」
「は?」
「一週間。」
片方の手の人差し指をしっかり立てる。
「一週間で私を惚れさせてみなさい。もし、惚れなかったら、今後一切近づかないで。」
「いいねぇ。俺、そういうの好きッスよ。」
「それはどーも。」
腕が放れる。二人は別々の方向へ歩き始める。
結果が出るのは、一週間後。
勝利の女神は、彼に微笑むか。
それとも、彼女に微笑むか。
さぁ、どっち?
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お題:『いいねえ。俺、そういうの好きよ』
テニプリ 切原 赤也