結構な身分ですねー。
「日番屋隊長。私、仕事してるんですけど。」
「そうか。」
「そうかって!隊長も仕事したらどうですか!」
「とっくに終わってる。」
「・・・そうですか。」
「あぁ。」
「・・・触らないで下さい。鬱陶しいです。」
「気にするな。」
「気にしますよ!!」
「ったく仕方ないなー。これでいいだろ。」
さっきから触っていたの髪から手を引く。
サラリと長い髪が肩に掛かる。
「隊長、失礼します。」
「あっ!乱菊さん。」
「じゃない。なに?また隊長に連れ込まれたの?」
「松本!お前は俺に用があるんじゃないのか!」
「はいはい。冗談ですって。こちらの書類に目を通してください。」
「ッち。わかった。」
「ありがとうございます。それでは。」
「え、乱菊さん行っちゃうのー」
「頑張ってね。v」
Vサインをした乱菊さんはにこやかに隊長室を去っていった。
「・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
紙の上を筆が滑る音がする。パラパラと紙を捲る音がする。
二人の口は閉ざされたまま。黙々と紙に筆を滑らせ、紙を捲る。
「隊長。」
「なんだ。」
「私、仕事終わったんで帰りますね。」
「おい。追加だ。」
差し出されたのはさっき乱菊さんが持ってきた書類。
「あのーそれは隊長のお仕事じゃ…。」
「隊長命令だ。」
「そんなー。」
「減給されたくなかったら働け。」
横暴だー、職務乱用だーと心の中で叫び仕事へと戻る。
山済みの書類。終わるわけないよ…。
「・・・・・。」
「・・・・・。」
じっと見つめられる視線が痛い。
仕事がやりにくったらありゃしない。
「あの、隊長?」
「なんだ?」
「なにしてるんですか?」
「の観察だ。」
「・・・結構なご身分ですねー。」
「隊長だからな。」
こいつ!チビのくせに生意気。
「私も隊長になってやる!」
「無理だな。」
「なんでですか!」
「俺が離すつもりないからな。」
「・・・・・。」
えーっと。これはなんだ?
雑用が居なくなるからずっと十番隊だってこと?それとも・・・
「私いいように解釈しちゃいますよ。」
「すればいいだろ。」
「・・・あの、ですね。」
「なんだよ。」
「私、隊長にはなりませんから。私、ずっと十番隊でいいですから。」
「馬鹿、お前。・・・お前が隊長になれるわけねーだろう。」
真っ赤になって言われても怖くないですよ。
なんだか嬉しくなって微笑む。
「おら、さっさと終わらせろ。」
「ハーイ。了解しました冬獅郎隊長。」
「んなっ!」
「エヘへ。」
さらに赤くなった隊長。あぁ、なんかいい気分。
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お題:『結構なご身分ですこと。』
BLEACH 日番屋 冬獅郎